事業経営者が考える事業承継

事業経営者の商業登記において、複数の代表取締役が就任されている場合が見受けられますが、同族企業の多い中小企業の経営者にとって、将来の経営合議制を考えるとき次世代の後継者問題は重要な課題です。期たるべきビックデータ、人工知能の活用等、さらなる情報化時代を見据えた経営手腕・専門分野を含めた広い知識が必要です。次世代の経営者は、フットワークの良さと、現場での対応能力・早期の決断力が企業を存続させることにつながる時代です。時系列の中で優れた人材を適正に流動化させ対価としてのキャッシュフローの企業への還元を図らねばなりません。

税制面から、事業承継を考えると、

@非上場株式に係る贈与税の納税猶予・免除制度
 後継者が、前の経営者(贈与者)から非上場会社の株式の贈与を受け、一定の要件を満たす場合は、贈与前から後継者が既に保有していた議決権株式を含め、発行済議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分について、贈与税の全額の納税が猶予されます。納税が猶予された贈与税額は、前の経営者(贈与者)又は後継者の死亡等により、納税が免除されます。

A非上場株式に係る相続税の納税猶予・免除制度
 後継者が、前の経営者(被相続人)から相続等により非上場会社の株式を取得し、一定の要件を満たす場合は、後継者が相続前から既に保有していた議決権株式を含め、発行済議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分について、課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されます。納税が猶予された相続税額は、後継者の死亡等により、納税が免除されます。
B適用を受けるための要件等
上記の納税猶予の適用を受けるためには、前の経営者(被相続人)、後継者、及びその非上場株式を発行する会社において、一定の要件を満たす必要があり、納税猶予の適用を受けた後であっても一定の事由に該当した場合は納税猶予が打ち切られ、一定の利子税の額とともに猶予税額の全部又は一部を納付する必要があります。
C事業承継税制の改正点
 事業承継税制について、その利用を促進するため、平成25年度税制改正により、事業承継税制の対象となる株式を発行する会社のうち一定の要件を満たす会社をいい、具体的には租税特別措置法70条の7の2第2項1号に規定する認定承継会社又は同法70条の7第2項1号に規定する認定贈与承継会社において相続税・贈与税納税猶予制度の適用が認められます。